楽だと思っている姿勢も目にとっては全然楽じゃない!?

夢中になって本を読んでいると、話の続きが気になって文字をどんどん追いかけてしまうことってありますよね。そのとき、ついつい背中を丸くしたり首が前に傾いてしまっていませんか?これはいわゆる猫背という状態です。

わたしたち現代人は、「一点を長時間見続ける」という動作を何らかの形で日々行っています。今ではなくてはならないスマートフォンや携帯電話の画面を見るということもその動作の一つですし、仕事ではパソコンを使うことがほとんどですよね。ですからもはや目を酷使することは必然と言っても過言ではありません。疲れ目に悩む人もどんどん増えています。また、こうした一点を凝視する行動は首が前に出ていきやすく、猫背になってしまうことが多いのです。

猫背になると背中の筋肉があまり使われなくなるため、その筋力は次第に弱まっていきます。背中の筋肉の力が弱まっていると、背筋をぴんと伸ばし続けることは難しくなります。だから身体は楽な姿勢を求めるので、背筋を正してもまた背中が丸まっていってしまうというサイクルになるわけです。しかし、楽な姿勢だからと言ってけっして身体に良いわけではなく、むしろ悪影響しか及ぼしません。

猫背の何が悪いのかと言いますと、首や肩に大いに負担がかかるということです。その肩こりが原因で、もともとひどかった目の疲れをさらに悪化させてしまうということも少なくありません。特に日本人は首は細めですから、肩こりを引き起こしやすい特徴を持っています。そのため、なおさら背筋には気をつける必要があります。このように、猫背になったところで良いことなんて何もありません。自分は猫背だと感じている場合は、危機感を持って改善していく必要がありますよ。

対処方法として一番お手軽なのが、クッションを使うことです。椅子と背中の間に厚めのクッションを置いてみましょう。クッションが背中を支えてくれるので、後は首の位置だけに気を付ければ背中が丸まってしまうことが減ります。また、あえて背もたれのない椅子に座るのも良いでしょう。姿勢を意識しながら作業することで、猫背になってしまっている場合はすぐに気づくことができます。日頃から猫背に対する危機感も高められるので効果的と言えます。

それから近視や遠視など、視力が弱い状態で本を読んだりパソコンを使ったりするときにも注意してください。この場合も対象をよく見ようとするため、自然に目を対象に近づけてしまう傾向があります、そうすると、どんどん首が前に向かっていってしまいます。およそ5キロもある頭を支えるために首は筋肉を目いっぱい使いますから、その状態が長時間続くと首の筋肉は凝り固まってしまいます。この筋肉の凝りが目を疲労させる原因になるおそれもあります。物が見づらい場合は眼鏡やコンタクトレンズを着用して対象との距離をきちんと保つようにしてください。

また、パソコン画面や本の位置というのも実は猫背対策には大切なことです。対象の位置は背中を伸ばしたときに視線よりも下にある状態が望ましいとされています。見下ろす形の方が全体を把握しやすいため、目線や頭があちこちに動いてしまうことが減ります。そのため首や肩の負担だけでなく目の負担も軽減させることもできますから、作業をする際は位置関係にも気を配るよう心がけるようにしましょう。

人間というのは心だけでなく身体も楽な方へ向かってしまいがちです。猫背の危険性を常に頭に入れておき、姿勢に気を付けて生活していくことが目や肩、首の健康のためにも、ひいては将来の身体の健康のためにも大変重要なことなのです。